VOL.1/NO.2 1996年4月25日
ランチ宅配
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薄味だが、美味しいと好評だ
宅配活動は地元でも評判
子どもたちと会えるのも嬉しい

(1号からの続き)
給食の展開方法を模索している折、たまたまサハロフ会議議長から、健常児と障害児を一緒に教えている私立学校を紹介された。校長と協議の結果、困窮している地元のひとり暮らしの老人に、生徒たちがランチを宅配するというプロジェクトを思いつく。

対象は、地元の工場で30〜40年間働き、年金生活をしているに70〜90代の女性が中心だ。夫とはほとんどが死別。戦死や、アル中でなくしている。彼女たちが受け取っている年金は、9000〜2万5000ルーブル( 800〜2200円)で、ほとんどが食費に消えるという。

彼女たちが住んでいるのは共同アパート。日本でいう3〜4DKに3〜4世帯が住む。台所、風呂、トイレ、廊下の電話、玄関が共用。1部屋は4〜8畳。買物や軽い日常の用事は、若い隣人に少しお礼を払って頼む。
 
ロシアでの一般的な朝食はパンと紅茶とチーズ、夕食も軽く、もっとも充実した食事は昼にとる。プロジェクト開始当初は、生徒たちの給食と一括して〈給食コンビナート〉から、安くて栄養価の高いランチを買っていた。しかし、肉が臭っていたり、値上がりしたため、1993年秋からは学校の厨房で作ることにした。

ソ連時代、学校給食はモスクワ市が提供してきたが、同校の給食は独立採算。ときどき父兄からの現物援助がある。そこに、日本人からの援助が加わった。こうして1食あたり12円、80世帯、週に4回6食分のランチ宅配が始まった。

外部から新たに調理スタッフを雇うと、備蓄食料が盗まれる危険性があるため、2人の専従スタッフ以外は手のあいている教師が交替で手伝うことになった。

ステンレス製の宅配用容器には、下段にスープかボルシチ、中段にお粥かパスタ、一番上にはパンと茶葉類と角砂糖2つが入る。3月8日の婦人の日や誕生日、クリスマスには、日本からの贈物やカードを用意する。
 
午前11時〜2時の間で都合のいい時間をみつけ、生徒たちはそれぞれ宅配にでかける。待ちかまえている老人宅で、中身をお皿に移し、空容器を持ち帰る。

生徒たちには、出来高制で10〜30ドルの報酬を払っている。片親家庭や、病気や失業で親が働いていない家庭では、子供たちが稼ぎ頭になっている。また、情緒障害や人づきあいができなかった子供に責任感や思いやりが出てくるなど、教育的効果もある。
 
後日耳にしたところ、当初、「日本人が毒入りランチを食べさせ、部屋を奪おうとしている」と怪しい噂が流れたという(理由は後述)。今では応じ切れないほど、希望者が大勢いる。しかし、皆高齢で病気もちでもある。ここ2年半で5名が亡くなった。

 
1人で3軒配達する上級生もいる   ソバ粥と豆入りスープとパン